パーツの切り取り
どんなプラモデルでも必須といえる作業の1つ、パーツの切り取り。
このときに注意する点をご紹介していきます。
結論から言うと、パーツは「二度切り」という方法で切り取るときれいに仕上がります。
その理由は大きく2つ。
・パーツ切断面の白化を少なくする
・切り残し、切りすぎを防ぐ
パーツ関連の用語について
技術の説明の前に、基本的な用語を押さえておきましょう。
パーツ・ゲート・ランナー
ガンプラをはじめとしたプラモデルは、複数のパーツを組み立てて製作します。
そのパーツは、ランナーという枠に繋がった状態で箱に入っています。
枠のうち円柱のような棒の部分がランナー、
ランナーとパーツが繋がっている少し細くなっている部分がゲートと呼ばれています。
白化
次は「白化」について解説します。
「白化」とは、プラスチックが変形して白く変色してしまう現象です。
ランナーの一部を切り取って、わざと曲げてみました。
赤いランナーの曲げた部分が白くなっているのが分かりますでしょうか。
こうして曲げた部分だけでなく、ゲートやパーツを切り離した部分も白くなっています。
これが「白化」と呼ばれる現象です。
この白化は意外と簡単に発生します。
例えばニッパーを使わずゲートをグニグニ何度も曲げればパーツは切り離せます。
ですが切れた部分の断面は汚くなりますし、無理な力が入って白く変色してしまいます。
これはニッパーを使っていた場合にも起こりえます。
特にランナーにつながったまま無理してパーツを切ろうとすると、
ゲートに無理な力が入って白化してしまいがちです。
それを防ぐために二度切りが勧められます。
バリ
パーツを切り取るときに、パーツ側に残ってしまったゲートのことを「バリ」と言います。
切り取り作業の丁寧さによってバリが残ってしまうか、目立つかどうかが変わってきます。
このバリを取り除く作業のことを「バリ取り」と言ったりもします。
二度切り
二度切りとは、パーツからゲートを切り取るときに2回ニッパーで切断する手法です。
二度切りは特別なテクニックというわけではなく、
実はガンプラの説明書にも記載されている方法です。
1.パーツから少し離れた位置にニッパーの刃を入れて切り取ります。
2.ニッパーの刃をパーツに密着させてゲートを切り取ります。
と記載されている通りに作業をすれば二度切りになります。
二度切りの詳しい手順
二度切りの手順について、もう少し詳しく解説していきます。
1度目:ランナーから切り離す
1回目の切り取りでは、パーツから離れた部分を切断します。
わざとバリを大きめに残した状態で切り取るイメージです。
このとき残すバリが小さすぎると、2回目の切り取りが難しくなります。
私は上の写真くらいバリを残して切るようにしています。
1回目の切り取り、ランナーから切り離すときに気を付けることですが、
パーツとゲートのつなぎ目に余計な力が入らないようにすることです。
ニッパーで切り取るときにパーツを持っていると、
切り取った瞬間に余計な力が入ってまだ切れていないゲートとの間に力が入ってしまい、
そこで白化が発生してしまうことがあります。
また、斜めにニッパーを入れることも白化が起こる原因になります。
ニッパーの刃は、しっかりランナーに対して垂直に、パーツの面に対して並行になるようにしましょう。
1回目の切り取りについてはパーツを手で押さえるタイミングも気をつけましょう。
個人的な感覚ではありますが、
よほど大きなパーツでなければランナーとつながっているうちはパーツを持たないように切断し、
最後の1か所を切り取るときにだけパーツを持って切断します。
かなり大きなパーツを切り取る時にはランナーとパーツを両方持ちながら切り取るようにしています。
パーツが大きいと、つながった箇所が少なくなったときに自重で曲がってしまう可能性があります。
それを防ぐためにランナーとパーツの両方を支えながら作業をするようにしています。
2回目:わざと残したバリを取り除く
2回目のカットで、パーツに残していたバリをきれいに切り取ります。
キレイに切り取るために気を付けるポイントは、
・ゲートを挟み込む幅がなるべく細くなる方向からニッパーを入れる
・ニッパーの平らな面をパーツに沿わせるように当てる
・ニッパーの先端ではない部分で切断する
2枚の画像を見比べてみると、
横から見たときのほうがゲートの幅が細くなっています。
この時は横からニッパーを入れることで、細い方向を挟むようにします。
バリが残らないよう、パーツギリギリで切断します。
この時ニッパーの先端で切ろうとすると余計な力が加わりやすいので、
なるべく刃の中央あたりで切るのがおすすめです。
それでもニッパーの切れ味によっては白っぽくなってしまいます。
そんなときは、爪でなでたりこすったりしてあげると解決したりします。
白い部分がかなり解消されました。
二度切りをしなくてもいい/しない方がいい場面
二度切りが不要な場面
そもそも二度切りをしなくてもいいという状況ももちろんあります。
例えば、ジョイント部分のパーツの場合。
このパーツ、組み立てたら十中八九見えません。
特に切り取った箇所は他のパーツの穴に差し込むので、切断面が見えることがありません。
そういった部分であれば、多少白くなったとしても一切問題にはならないでしょう。
そんな場合にはわざわざ二度切りをせず、1回でサクッと切ってしまうのも手です。
ただし、バリが残るとジョイントが引っかかって動きに影響が出てしまいます。
1回ではパーツギリギリで切り取れない場合には二度切りをするようにしましょう。
二度切りしないほうがいい場面
個人的に二度切りを避けたほうがいいような場面も存在します。
それは「ゲートがあまりに細く、触ったらすぐ折れてしまうような場合」です。
(実際にいい例となるパーツが手元にありませんでした…)
ゲートが細すぎる場合、ちょっとした力が加わるだけでゲートが折れてしまいます。
二度切りをしようとパーツから離れた部分を切ろうとしても、
そのときの衝撃でゲートが折れて白化が発生してしまいます。
それを避けるためにどうするかというと、
ゲートが細すぎる部分は二度切りではなく、直接パーツギリギリを切断します。
パーツについたゲートのうち1か所だけが細すぎる場合、
その箇所を先に直接切断し、残りの部分で二度切りを行う。
そういった判断をすればいいのではないでしょうか?
場数を踏む
最後に身も蓋もないことをいいますが、
二度切りのテクニックや要不要の判断は、何度も経験することで上達していきます。
ある程度の理論を理解できていれば、
あとは何度もパーツの切り取り作業をして慣れていくのが一番です。
どうすればうまく切り取りできるか、
どうすればスムーズに切り取りできるか、
こんなときは二度切りしなくてもいいのでは?
そういった部分は実際に何回か切り取り作業をしていけばだんだん分かってきます。
人の感覚に合わせて作業をするよりも、
自分なりの感覚を身に着けて作業をした方がスムーズにいくことが多いはずです。
ですので、あれこれ考えるよりも実際にガンプラを組み立ててみましょう。
それではよいガンプラライフを。